>>141 地球からレーザーを当て、正確に跳ね返ってくる仕組みは、物理学的な工夫によって実現されて
います。
なぜ、そんなに遠くの小さな鏡に当たるのか?
地球から発射されたレーザーは、月へ到達する頃には直径約7kmほどの大きさに広がっています。
狙い撃ちではなく「シャワー」: ピンポイントで数cmの鏡を狙うのではなく、月面の広い範囲を
レーザーで照らし、そのエリア内にある反射鏡のどこかに当たれば良いという仕組みです。
強力な望遠鏡: 地上の大きな望遠鏡を使い、非常に高い精度で鏡のある座標を狙い続けます。
なぜ「自分のところ」に正確に返ってくるのか?
ふつうの鏡なら、角度が少しでもズレると光はあらぬ方向へ飛んでいってしまいます。しかし、
月にあるのは「コーナーキューブ・レトロリフレクター」という特殊な鏡です。
再帰性反射: 3枚の鏡を互いに直角(部屋の隅の角のよう)に組み合わせた構造をしています。
この鏡に入った光は、どの角度から入っても入ってきた方向へ正確に180度折り返されるという
性質を持っています。
自転車の反射板と同じ原理: 自転車や道路標識の反射板と同じ仕組みを、極限まで高精度にした
ものです。
実際に返ってくるのは「ほんのわずか」
地球に帰ってくるレーザー光は発射時よりもさらに広がっており、地球に戻る頃には直径20km
ほどになっています。
そのうち、地上の望遠鏡でキャッチできるのは、数兆個の光子のうちのたった1個か2個という
レベルです。
この極めて微弱な光を高性能なセンサーで検出し往復時間を計ることで月との距離を数センチ
単位の精度で測定しています。
「狙って当てる」というよりは、「広範囲に投げて、特殊な鏡の力で戻ってきたわずかな信号を
拾い出す」というのが、この技術です。
月との距離を測るこの実験は、今でも世界各地のレーザー測距観測所などで行われています。
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