●練習時間減少のプラス効果?
部活動自粛などで練習時間が激減していることについても、実は意外な副産物があるという話を耳にするようになった。
高校野球の指導者やトレーナーから聞こえてきたのは、こんな声だ。
・生徒たちの体が大きくなっている。
・投手の球速が伸びている
・飛距離が伸びた
関西で高校生のトレーニング指導を行っているトレーナーは、こう証言している。
「自粛期間があっていつも通りの練習をしていないので、再開しても選手はなかなか動けないのではと思ったのですが、
意外と体ができていることが多かった。さすがに身長は変わらないですが、横にがっしりしてきています。
特に練習メニューの意味を選手たちが理解しているチームは、個々人が考えて練習をしていたのだろうと思います」
言われたことをやる上意下達の色が濃かった高校野球界でも、トレーナーなどと関わることで選手の意識が向上しているケースも多そうだ。
●練習が減って球速が上がった?
また5、6月は練習試合真っ盛りの時期であり、その期間が自粛になったことで過度なトレーニングが避けられ、
選手のパフォーマンスにポジティブな変化が起きていると証言する人もいる。
北信越地区の高校のコーチもこう語る。
「うちのチームで顕著なのは投手の球速が上がった事です。エースが132→137キロ。メンバー外だった投手が126→131キロ。
そのほかにも127→134キロになった選手がいたり、明らかに投手陣は投げる球の質が良くなりました。
本人たちが自粛期間を上手に過ごしたのだと思いますが、野球の障害は圧倒的にオーバーユースによることが多いので、
練習が減ったことの影響は大きいと思います。
また今は動画でトレーニングやフォームを観られるので、イメージを頭で描きやすいということもあるかもしれません」
●グラウンドだけが練習ではない。
まだ全国の統計があるわけではないが、近年は「多すぎる練習量が子供たちの成長を阻害しているのではないか」という説も広がり始めている。
高校野球は、試合の日程も練習も過密だ。
朝練があり、授業を受けた後もすぐに練習が始まる。そこから夕食を挟んで夜遅くまで練習が続く。
連戦連投や深夜までの練習が「美談」とされる雰囲気は今もある。
明らかに練習過多なのだが、その状況でも体を大きくするために「食トレーニング」と称して多くの食事を詰め込むことも一般的になっている。
ところが自粛期間になると、選手たちの体は勝手に大きくなっている。興味深い話ではないか。
適度なトレーニングと、動画でプレーイメージを構築する習慣は、自粛期間に起きたポジティブな要素だ。
グラウンドに出る時間だけが練習なのではなく、時間にゆとりを持たせる必要もあるのだ。
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