【フィギュア】坂本花織、世界選手権舞台裏「怖すぎる」5季ぶり試合前に涙、銅メダルも重荷
3/26(土) 11:03配信
青の照明で薄暗くなったリンクに、君が代が流れた。坂本は対角で徐々に揚がる国旗を見つめていた。
「うれしすぎて、しんみりきちゃった」中盤でこらえきれず、右手で涙を拭った。世界一を実感した瞬間
だった。泣いて、ほほえんで、また泣いた。曲の終わりと同時に、フランスの観衆が拍手でたたえてくれた。
演技前も泣いていた。最終滑走。同学年の樋口が苦しみ、3位以下になれば来年の出場が2枠に減る危機だった。
前を滑るヘンドリックスの演技が残り2分に差し掛かり、中野園子コーチに「怖すぎる」と漏らした。試合前に
泣くのは5季ぶりだった。「必死ほど強いもんはない」-。師の言葉に「ここまで頑張ってきたものを無駄に
したくない」と震えを落ち着かせた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/19d95c8cad0431ec01378... 舞台裏はどん底だった。北京五輪では個人、団体で銅メダルを獲得し、2月下旬に帰国。1週間の隔離中は
五輪メンバーとの練習で何とか保ったが、関西に戻り、心が崩壊した。「完全に燃え尽きた。銅メダルが
重荷になって『見ないようにしよう』と思いながら過ごした」体も五輪に向けて絞った反動で、体力が
戻らなかった。普段は朝と夜の練習の合間をコンディション管理に費やす。だが、心身の限界を感じ、
好きな砂肝やレバーを食べた。体重は1キロ増えたが、そうして心身の健康が保たれた。
「落ちこぼれみたいな練習が1週間ぐらい続いた。今までで一番大変だった」
フランス出発前日、ようやくフリーをミスなく通せた。信じたのは直近1カ月ではなく、1年間の練習だった。
この日、後半のフリップ-トーループの連続3回転など、ジャンプを全部降りきった。スケート技術など5項目を
評価される演技構成点は75・67点。単純比較はできないが、ウクライナ侵攻で今大会出場できなかったロシア勢
を含め、北京五輪の全出場選手を上回った。3回転半、4回転の高難度ジャンプがなくても、違った色を出した。
あふれ出た涙は女王の自覚を生んだ。過去の優勝者の名を聞き「すごいレジェンドの方々の名前の次に花織という
のが、しっくりこない」と笑わせ、誓った。「日本女子を一番で引っ張っていける存在になっていきたい。どんどん
強くなれるようにしていきたい」それまで潤んでいた瞳は、キラキラと輝いていた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/19d95c8cad0431ec01378...
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